花丸紋とは
花丸紋とは、植物を円形に図案化したもので、花の丸、花丸文とも呼ばれます
単体の植物で構成されたものもあれば、松竹梅や日本の国花を組み合わせた桜と菊など、二つ三つのの植物を組み合わせたものもあり、能装束などの伝統芸能の衣装から、今日の着物や帯にいたるまで、伝統的・古典的な趣のある文様です
日本刺繍を始めた頃、教本に載っていた写真を見たときからいつかは刺してみたい…！と憧れていた図案たちを刺繍したものをいくつかご紹介致します＾＾
秋と冬のモチーフの花丸紋をご紹介した記事もありますので、是非併せてご覧下さい.·˖*
春の花丸紋 桜
桜は日本刺繍でいちばん刺繍するお花ではないでしょうか＾＾
今回の桜は縫い方はシンプルに、配色は大人かわいくはんなりと仕上げました
花びらはふんわり縦繍い切り
桜の花びらはシンプルに平糸の縦繍い切りで…自然な立体感を出すために肉糸を2針ほど入れています
縦繍い切りとは、縦方向に繍っていく表現で、繍ったきり(→繍い切り)という意味です
桜の花びらの場合はまず中心に糸を渡し、常に糸の方向は最初の一針に平行に左右半分ずつ繍い進めていきます
桜の花びらの頂点は尖らせつつ、全体は丸みを帯びたフォルムが難しく、つい全体的にカクカクとした印象になってしまいました…
今回は平糸で刺繍していますが、花びらに撚り糸を使うときは、ふんわり感を出すために甘撚りにすることが多いです
枝と葉っぱは斜め繍い切り
太い枝と葉っぱは斜め繍い切りで繍っています
一見違う繍い方のようですが、どちらも図案に対して斜めに繍っています
葉っぱの場合は向きによって繍う方向を変えますが、太めの枝や紐などの場合は右回りに針を進めていきます
蕾は繊細にまつい繍いと刺し繍い
右回りに繍うのはまつい繍も同じで、今回の蕾の枝のような細い線を表現するときに使用することが多いです
かわいい小さな蕾は花びらを刺繍した後がくを重ねています(刺し繍に入るでしょうか)
今回の全体の配色はお花が目立つよう枝は薄いピンク色、甘くなりすぎないようお花にはベージュやブラウンも足してみました
個人的には蕾のぽってり感が気に入っています(*´ω`*)
桜に使用した技法まとめ
| 花びら | 縦繍い切り | 平糸 |
| 枝 | 斜め繍い切り | 平糸 |
| 葉っぱ | 斜め繍い切り | 平糸 |
| 蕾 | 刺し繍い | 平糸 |
| 枝(蕾) | まつい繍い | 撚り糸(辛) |
桜を花びらをカラフルにして少し濃いめのブラウンを入れたことによって、シックなイメージになりました＾＾
花びらも葉っぱも、全体的に角がついてシャープな感じになってしまったので、もっとふんわり柔らかな雰囲気に出来るよう、次回の課題にしたいと思います！
夏の花丸紋 杜若
夏のモチーフには杜若を選びました
杜若に似たお花に菖蒲と書くしょうぶともあやめがありますね
一見違いが分かりにくいお花たちですが、簡単に見分けられる方法がいくつかあります
| 花びらの根本 | 咲く場所 | |
| しょうぶ | 黄色 | 水辺 |
| あやめ | 網目状 | 陸地 |
| かきつばた | 白色 | 水の中 |
この見分け方でいうと今回刺したのはしょうぶかかきつばたですが、花びらの形を見るとかきつばたかなあと思います(しょうぶの花びらは四角、かきつばたは三角)
花びらは割り繍いで立体感を
花びらはまずまつい繍いで中心のラインを繍ってから、全体を割り繍いで繍っています
割り繍いとは、中央線を境に左右に分けて繍っていく方法です
菖蒲の他にも紅葉や藤の花もこの方法で繍うことが多いです
糸の流れがお花の繊維の流れと似ているので、繍い切りよりも立体感が出ます
お花の頭にある細い花びらは斜め繍い切りで刺していますが、斜め繍い切りは基本的に右回りに繍い進めるので、左の2本は下方の細い方から、右の2本は上方の太い方から繍い始めています
葉っぱは太さを一定に斜め繍い切り
葉っぱも斜め繍い切りです
一定の太さを保ちながら繍い進めないといけないので角度の取り方や針足の長さの調節が難しいです…本数も多かったので笑
時々途中で糸色をグラデーションをかけながら変えて遊んでみました(・∀・)
蕾は引き算の要領で繍い切り
蕾は縦繍い切りと斜め繍い切りで針目づき(糸同士のわずかな隙間)を作ることによって、螺鈿状に渦巻いている様子を表現しました
糸を重ねるのではなく、糸のない空間の部分を活かすことも出来ます
桜の蕾も好きでしたが、こちらの蕾も気に入っています＾＾
杜若に使用した技法まとめ
| 花びら | まつい繍い | 平糸 |
| 割り繍い | 平糸 | |
| 花びら(上部) | 斜め繍い切り | 平糸 |
| 葉っぱ | 斜め繍い切り | 平糸 |
| 蕾 | 繍い切り | 平糸 |
| 茎 | まつい繍い | 平糸 |
杜若は全て平糸で刺繍したので、水辺に咲いているお花らしく太陽の光が反射してキラキラと輝いているようなイメージに仕上げられたと思います
葉っぱの斜め繍い切りをたくさん刺繍したので少しは上達したでしょうか…笑
お花を一輪だけ配色を逆にしたのもアクセントになりました＾＾
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