日本刺繍は日本の伝統工芸のひとつでもあり、着物や帯、相撲の化粧回しなどに用いられてきましたが、今では職人さんも減ってきてしまい、手刺繍の作品はとても貴重で贅沢なものとなっています
なかなか触れる機会のない日本刺繍ですが、製作においての特徴をいくつかご紹介します( ´ ▽ ` )ノ
日本刺繍3つの流れ【京・江戸・加賀】
日本刺繍には主に3ヶ所の生産地があり、京都・加賀(金沢)・江戸が発祥になったものに分けられています
それぞれ京繍・加賀繍・江戸繍と呼ばれ、現在では京繍と加賀繍が経済産業省が指定する伝統工芸品となっています
基本的な道具や材料は同じですが、同じ繍い方でも名称が違ったり、繍い方が微妙に違うものもあります
日本刺繍の道具について
【針】手打ち針と機械針
日本刺繍の針は一般的に使われている繍い針より短いものが多く、太さは様々な種類があります
昔から日本刺繍の針を専門的に作られている職人さんもいらっしゃり、手打ちで作られた針はとても高価で、購入出来るところも多くはありません
日本刺繍を始めたいけどどれを買えばいいか分からない…という方は、購入しやすい機械針で試されるのもいいかと思います
太いもの、中間のもの、細いものを1本ずつから始めて少しずつ買い足されるのもおすすめです^^
【糸】釜糸と呼ばれる細い絹糸の集合体
糸の数え方
日本刺繍には「釜糸」という絹糸を使います
釜糸は細い絹糸が10〜12本の束になっていて(本数は糸のメーカーさんによって違ったりします)、撚りがかかっていないものなのです(わたしが主に使っているものは12本のものが多いです)
ピンとこないですよね…こんな感じ
この蜘蛛の糸のような細い糸を「一菅(ひとすが)」、そして10菅(または12菅)束ねられたものを「一本」と数えます
こちらは4本束ねたもの、4本×12菅=48菅あります、ふわっふわです!
刺繍するモチーフによって自分で撚りを掛けたり、またはそのまま使ったりもします
糸の撚り方
糸を撚る工程を簡単にご紹介します^^
今回は釜糸4本で1本の撚り糸を作りました
4本の糸を2本ずつに分けます
1本ずつ撚りをかけます
もう1本も同じ方向に撚り…
出来た2本をさらに1本に撚って完成です^^
刺繍するモチーフや大きさに合わせて、糸を割って細く撚ったり何重にもして太く撚ったり、きつく撚ったり緩く撚ったり…奥深い手法です
日本刺繍の世界には「糸撚り三年」という言葉もあって、糸を撚る修行だけで3年もかかるそうですよ…((((;゚Д゚)))))))
平糸
釜糸を撚らずに使うことを「平糸」で刺繍するといい、平糸の刺繍はとっても艶が出てキラキラに仕上がります!
このパンジーの刺繍は全て平糸で刺繍したものです
この作品は糸の細さを微妙に調整しながら刺繍しました
日本刺繍の糸ってほんとう変幻自在です…!
【刺繍台】木製の棒を組み合わせて反物を張る
日本刺繍はフランス刺繍では生地を固定するのに丸い木枠を使いますが、日本刺繍では3種類×2の6本の棒を組み合わせた木枠(刺繍台といいます)を使います
生地を刺繍台に貼る際は緩みや歪みがないよう細かく生地の繊維を見ながらの作業です(生地が歪んでいると刺繍も歪んでしまうので…準備大事です)
ひとりで行うには結構な重労働で、わたしは未だに1時間は掛かります…
その他道具いろいろ
・駒
通常二つ一組で使います
太い糸を駒に巻き付けて、その太い糸を細い糸で留める作業の際、動かしながら細かい調整をするのに使用します
曲線や鋭角もしっかりと刺繍で表現することができます!
この複雑な菊紋も駒を使って刺繍したものです
・てこばり
鉄製で先の尖ったアイスピックのような棒です
平糸で刺繍するとき、糸の艶を出すために一菅一菅を均一に揃える、というのがいちばん重要な役割かなと思います
手に入らない場合は目打ちでも代用出来ますよ^^
伝統を大事に
簡単に日本刺繍の特徴をご紹介しましたがいかかでしたでしょうか
現在は教室も少なかったり道具や資材も簡単に手に入らなかったり高価だったりで、敷居の高い印象を受けてしまうのですが、折角先人たちが今に伝えて来た技術なので、わたしも微力ながらひとりでも多くの方に知って頂けるよう発信していきたいと思っています
何か知りたい事、質問などありましたらお気軽にコメントにでも残していってくださいね^^
最後までお読み頂きありがとうございました^^
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